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切り絵の日達れんげさん 故郷の岡谷で作品展

2025年6月29日


 岡谷美術考古館で、岡谷市出身の切り絵作家、日達れんげさん(62)の作品を集めた特別企画展が開かれている。故郷や移り住んだ原村の風景、風物、草花などを題材にした53点を展示。本展のために制作した初公開の作品もあり、身の回りのものを美しく表現する独自の視点と緻密な技術が感じられる。
 日達さんは1982年、18歳の時に独学で制作を始めた。当時は学生で、電車がストライキで止まった際に宿泊した友人宅で飾られている切り絵を見たのが切っかけになったという。2002年の王宮美学復古再生賞(オーストリアハプスブルク芸術友好協会)をはじめ、国内外でさまざまな賞を受けている。
 アジサイやテッセンなどの草花、諏訪大社御柱祭、諏訪湖の御神渡りなど、身近なものを表現した作品が多く並ぶ。御倉町の旧林家住宅の外観や室内にあしらわれている金唐紙(きんからがみ)、同館が収蔵する国重要文化財の顔面把手付(とってつき)深鉢形土器など、岡谷の文化財を取り上げた作品もある。
 日達さんの制作の様子を収めた写真も、完成した作品と並べて展示。台紙と切り絵を重ね、色や質感の違いを表現する技法を伝えている。
 日達さんは過去に、同館で制作ワークショップの講師を務めたことはあるが、作品を展示するのは初めて。「世話になった岡谷の人への感謝も込めた」といい、「心のベクトルが向くまま描いてきた。原村でも元気にやっているという心の便りのような感覚で展示を見てほしい」と話す。
 8月17日(日)まで。午前10時〜午後6時。水曜と祝日の翌日は休館(8月13日は開館)。入館料は一般580円、小中学生290円(諏訪地域の小中学生と市内在住、在学の高校生は無料)。問い合わせは同館(電0266・22・5854)へ。
(写真は、展示する作品と日達さん)