NEWS

絹糸のアート作家台湾から 市内で養蚕体験や制作 来月作品展

2025年6月25日


 絹糸を素材とした視覚芸術(ビジュアルアート)に取り組む台湾の作家、王有慈(オウ・ユウ・チー)さん(28)が岡谷市に滞在し、制作に取り組んでいる。現在は三沢区民農園の蚕室(川岸上)で養蚕を手伝うほか、岡谷蚕糸博物館や岡谷絹工房(中央町)なども見学。岡谷ならではの体験から得たアイデアを形にし、7月には市内で展示する予定だ。
 王さんは同国の芸術大学3年時の2017年、研究テーマを考える中でアジアらしく、古くから使われている絹糸に着目。繭や自分で取った糸を使い、主に立体作品を手がけてきたという。修士課程に進んだ後の22年から1年間は、東京芸術大学(東京都)の工芸染織専攻交換留学生として来日して学んだ。
 留学中に絹糸の歴史や文化を調べる中、岡谷市にシルクに関する博物館があり、市内でまだ養蚕が行われているのを知ったのが訪問の切っかけという。昨年9月にも1度、同館を訪れて展示を見学。今回の滞在は13日から7月12日(土)まで。
 滞在中は天竜町の市移住体験住宅で暮らし、現在は週4日ほどの頻度で蚕室に通う。「自然が多く、花や山がきれい。アイデアが出てくる」と岡谷の印象を話す。養蚕や織りなどでさまざまな人が力を入れているのを見て「すごく感動した。いろいろな人がつながっている」。絹工房で分けてもらった染め用のリンゴの枝と繭を組み合わせた作品を既に作るなど、制作も進んでいる。
 展示は7月5日(土)〜10日(木)に、岡谷美術考古館で予定している。
 (写真は、移住体験住宅で制作に取り組む王さん)