NEWS
身近な歴史受け止めて 町民会館で満蒙開拓に関する展示
2025年5月1日
辰野町教育委員会は戦後80年に合わせ、満蒙開拓に関する展示コーナーを町民会館に設けた。町の旧4村から約280人が入植したことから「身近な歴史として知ってもらい、平和について考えてほしい」と計画した。
満蒙開拓団は、1931年の満州事変によって建国された満州国(中国東北部)などへの入植移民団。45年の敗戦までに全国から約27万人が移住し、うち約8万人が死亡したとされる。都道府県別では長野県が最も多く、3万人以上を送り出した。
町内では、旧伊那富村が村単独で送出する「分村開拓団」を上伊那地域で唯一組織。北安省に42戸163人が移住した。町誌「近現代編」などによると、引き揚げの際に栄養失調や病で87人が亡くなった。未帰還者は4人。
展示では満蒙開拓の概要や町関係の開拓団を紹介。入植した地域に印を付けた地図のほか、町公民館が採録した関係者の証言なども掲げた。町教委学びの支援課の福島亨課長は「町からも多くの犠牲者が出たことを知り、身近な出来事として受け止めてほしい」としている。
今後も内容を変えながら、当面展示を続ける。7月9日(水)〜15日(火)には満蒙開拓平和記念館(阿智村)から借り受けたパネルの展示、13日(日)には同館の寺沢秀文館長による講演会を予定する。
町教委は8月ごろ、町民から借りた戦争に関係する資料の展示をする。7月31日(木)まで貸し出しの品を受け付ける。
軍服や水筒、当時の様子が分かる写真や手紙、書類などを歓迎する。町教委は「戦争の悲惨さや平和への願いを受け継ぐため、協力をお願いしたい」としている。問い合わせは町教委(電0266・41・1681)へ。(写真は戦後80年に合わせて設けられた展示コーナー)