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念珠の房に純岡谷産絹 西本願寺・親鸞の木像

2020年10月2日

ネット201001西本願寺に純岡谷産絹糸
 浄土真宗本願寺派の本山、西本願寺(京都市)にある開祖・親鸞の木像が持つ念珠の房「御流蘇(ごりゅうそ)」の材料として、純岡谷産の絹糸が初めて進納される。念珠は毎年、「御正忌報恩講(ごしょうきほうおんこう)」(1月9日〜16日)の法要に際した儀式で取り換えられ、絹糸は1989年から敬念寺(岡谷市郷田)が納めてきた。2015年には原料以外を岡谷で賄う「準岡谷産」となり、今回は三沢区民農園が収穫した繭を使って「純岡谷産」を実現。当初から任に当たる敬念寺責任総代の山下幸治さん(86)=郷田=は「地元で全て間に合うのはありがたい」と喜ぶ。
 敬念寺によると、絹糸の進納はそれまで務めてきた普願寺(須坂市)から話があった。山下さんが一手に引き受け、15年からは宮坂製糸所(郷田)で製糸。更にその後は、ボビンから整経機に巻き付けて糸の張りを整える後工程、進納用の木枠に巻き取る作業は岡谷絹工房が担うようになったという。
 木枠は進納用5巻、予備1巻を作る。それぞれに18㍍の糸500本を巻き取り、飾り糸で整える。毎年、出来上がったものは山下さんが西本願寺に届けてきたが、高齢を理由に退き、今回から同じ任務を敬念寺問信徒会長の千原博幸さん(72)=川岸上=が引き継ぐ。
 1日には絹工房で木枠に糸を巻き取る作業があった。山下さんと千原さんも携わり、山下さんは「その場その場でやってきたことが、気付けば30年以上たっていた」と振り返り、千原さんは「山下さんが続けてきた大切なこと。力を尽くしていきたい」と語った。
 今月中旬には、千原さんが現地を訪れて納める予定。御正忌報恩講に際した儀式では念珠の取り換えのほか、法要に向けて木像が清められるという。
(写真は、山下さん㊨に見守られながら木枠に絹糸を巻き取る千原さん=右から2人目)