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三沢区民農園新蚕室の春蚕 待望の初収繭

2020年7月5日

HP三沢区民農園収繭
 養蚕に取り組む三沢区民農園は3、4両日、5月に完成した新たな蚕室で飼育した春蚕(はるご)6万頭の繭を集める「収繭(しゅうけん)」を行った。飼育を担当した片倉仁さん(59)、地域おこし協力隊の橋口とも子さんをはじめ、区民農園の会員、市職員ら約20人は真っ白な繭を一つ一つ丁寧に「蔟(まぶし)」から外し、手で感触を確かめながら選別した。
 6月4日から飼育を始めた「春嶺鐘月(しゅんれいしょうげつ)」と呼ばれる春蚕の繭。出来の悪い薄い繭や中の蚕が死んでしまったものなどを手作業で選別した後、機械で毛羽(けば)を取り除きつつ蔟から押し出して収穫。最後に手で重さや柔らかさを一つ一つ確認しながら品質別に仕分ける「選繭(せんけん)」をし、袋詰めした繭を岡谷蚕糸博物館併設の宮坂製糸所へ納入した。
 以前に構えていた蚕室より広いため収穫量は約3倍を目標にするが、区民農園の山之内寛顧問(77)は「桑の栽培や夜中の餌やりなど、昔の養蚕農家の大変さが分かる」と飼育の苦労を話した。橋口さんも「出来の悪い繭も多い。新しい環境での飼育方法がまだ確立できていないのが原因」と今後の課題を口にした。それでも新天地で初の収穫を迎えたことに、片倉さんは「広くなった分、作業のやりやすさはあった。みんなの協力を得ながら良いものを作り、長く続けていくことが重要」と養蚕の「岡谷ブランド」復活へ更なる意欲を燃やしていた。
(写真は、丁寧に繭を選別する区民農園の会員ら)