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「富岳」に岡谷の技術 世界一のスパコン支える市内企業の部品

2020年7月1日

200630富岳に岡谷の技術
 スーパーコンピューターの性能を競うランキングで世界一となった理化学研究所の新型機「富岳(ふがく)」に、岡谷市の企業が手掛けた部品が導入されている。供給したのは長地梨久保2、精密金属加工の寿精工。冷却装置と本体を結び、性能を発揮させる重要なパーツで木村健司社長(71)は「絶対に失敗が許されない製品だった。社員一丸となって携わることができ、今後の自社のものづくりに可能性を感じている」と話す。
生産した部品は、本体と冷却措置を通る管を接続する筒状の金属部品。二つに分かれ、それぞれに管を取り付ける。組み合わせると冷却水が部品を介して循環し、外す時には液漏れがしない仕組み。ニッケルを交ぜたさびにくいステンレス材を用いた。直径8センチで、接続時の長さが15センチ、重さは1・5キロ。
 2018年9月に取引先の総合商社から話があり、19年11月に正式に受注。ことし1月までに2千個を生産して納めた。発注先が用意した図面を自社で3次元化し、5軸マシニングセンタで切削加工。冷却水を漏らさないため精度の高い円形状や平面になるよう1000分の1ミリ単位で品質管理したという。
 「(富岳が日本勢の8年半ぶり世界一に輝いたことを)知った時は感動した」と木村社長。「新型コロナウイルスのワクチン開発に活用されるという報道もあり、AI(人工知能)にも使われるようになる可能性も高い。喜びを感じている」と話す。
 同社は1984年創業。当初、カメラレンズの金属製鏡枠の生産を手掛けていたという。木村社長は「軒先を借りて仕事を始めたが、世界一のスパコンの部品に関わるとは思いもしなかった」と振り返る。岡谷の技術が世界一のコンピューターに採用されたことで、「一人でも多くの人がものづくりに携わり、喜びを味わう切っ掛けになれば」と願う.
(写真は、富岳用に供給した部品を手にする木村社長)