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諏訪大社下社春宮斎館1世紀ぶりに大規模改修

2019年7月27日

春宮斎館
 諏訪大社は、下社春宮の斎館(さいかん)を大規模改修する。製糸業の先覚者・片倉兼太郎(岡谷市三沢出身)らの寄付で、現在の姿に改築されてから100年ぶり。下社夏の遷座祭「お舟まつり」後に足場を組んで本格的な工事に入り、来年3月の完成を目指す。
 斎館は、神職が神事にあたり心身を清めたり、直会を開いたりする建物。春宮斎館がいつ頃建築されたかは不明だが、諏訪大社が官幣大社に昇格した2年後の大正7(1918)年、老朽化の様子を憂いた片倉兼太郎をはじめとする岡谷の有志が中心となり、寄付を募って現在の形に改築したとの記録が残る。木造平屋建てで12、10、6畳の和室5、身を清める風呂などで構成され、社務所と廊下でつながっている。
 これまでも小規模な改修は重ねてきたが、大掛かりな工事は改築後初めて。雨漏りがする屋根を銅板でふき替えるほか、しっくいの内外壁の塗り替え、犬走の補修、ふすまや欄間などの内装、水回りなどの改修を行う。総工事費は7600万円。請け負いはサイト(岡谷市本町)。
 大社では、既存の建物に手を入れる保存的な改修を実践していて、今回の工事では、大正時代の協力者の子孫の一部から寄付を受けたという。「将来的に文化財の指定を受ける可能性のある建物。完成してきれいになった姿を、見にお参りしてほしい」と話している。
(写真は、大規模改修する春宮斎館)