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風合い独特ジャケット完成

2018年10月6日

HP横・トルネードシルク①
HP・縦トルネードシルク②
風合い独特ジャケット完成
宮坂製糸所
「トルネードシルク」開発から10年

 岡谷市郷田1、宮坂製糸所の宮坂照彦社長(79)が発明して2008年に特許取得した新たな糸「トルネードシルク」。繭を撹拌(かくはん)しながら取ることで、繭同士がこすれて独特の風合いになるこの糸の特長を生かした製品が、開発から10年を経て誕生した。5日には同社にジャケットの完成品が納品され、関係者が出来栄えを確認。宮坂社長は「いろいろな使い方が世に広まり、岡谷シルクのブランド発信につながれば」と語った。
  開発の切っ掛けは、大日本蚕糸会でもっとカジュアルな使い方ができる糸を作ってみては—との提案があったことという。試しに二層式の洗濯機に繭を入れて動かしたところ、節のある糸ができたことに着想を得て、研究を重ねて専用の繰糸機が完成した。
 当初はスムーズに糸を取れず、一時は作業を中断した時期もあったというが、機械調整など試行錯誤をして実用化。9月に第1弾となるラグ(敷物)を発表、ジャケットは織りを岡谷絹工房、仕立てを池上洋服店(川岸上1)が担い、繭以外は岡谷で賄った。
 生地は麻のようでもあるが、シルクらしく光の加減で光沢があるようにも見える。宮坂社長がジャケットに袖を通す様子を見た関係者は「ジーンズに合わせてカジュアルにも着られそう」「次は婦人洋品もいいかも」などと更なる構想を膨らませていた。
 同社の髙橋耕一専務(52)によると、近年は完成品よりも生地や素材を探していろいろな発想で作品展開する作家や事業者が多いといい、「ジャケットが完成したことで今後、展示会などで披露しながら素材として、生地としての価値も発信したい」と力を込めた。
 ジャケットは受注生産で対応。生地は測り売りもしている。問い合わせは同社(電22・3116)へ。
 
 写真=仕上がったジャケットは節がある独特の風合いが特長(●)、ジャケットの出来栄えを確かめる関係者(●)