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地酒「御湖鶴」復活へ 福島県の磐栄運送が事業継承

2018年2月27日

御湖鶴会見
 昨年4月に事業停止した下諏訪町御田町の菱友醸造の酒造事業を、福島県いわき市の磐栄運送が引き継ぐことになった。26日、村田裕之代表取締役(57)ら役員が役場で会見し、銘柄「御湖鶴(みこつる)」を引き継ぎ復活させる方針を示し「新生御湖鶴として地域に根差して、どこにも負けない酒を造っていく」と述べた。
 磐栄運送は1961年に設立。持ち株会社の磐栄ホールディングスの中核を担っていて、主な事業は運送業、倉庫業。グループでは太陽光発電や植物工場による野菜栽培など多角化事業を展開している。グループ全体社員は約1200人、車両総数1043台。
 引き継ぐ切っ掛けは、村田代表取締役が御湖鶴を飲み、感銘を受けたこと。事業停止したのを知り「地元で再生させたいという話を聞いた。どうにか(復活に)チャレンジしたかった」とし、土地や建物などを落札買収し、酒造免許も取得した。
 同社では純米酒に特化した酒蔵を目指し、原料は長野県内産を視野に入れる。10月から醸造を開始して、12月末までには販売へ持ち込みたい考え。味わいは「これまでの御湖鶴を尊重し、ベースを高めたい」としている。このほか、地元特産のカリンやリンゴを使った日本酒のリキュール商品の開発も進める。
 生産目標は、生産初年度で一升瓶3万本を掲げている。販路については「まずは地元、諏訪地域を中心に進めたい」とする。グループ内でのネットワークを駆使した全国展開、欧州などへの輸出も想定している。
 同社が酒造業に携わるのは初めて。事業展開に合わせて、経験者の杜氏(とうじ)も採用し、菱友醸造の元従業員を含め今後地元を中心に雇用していく方針。
 村田代表取締役は「食事と一緒に酒を楽しめるような施設になれば」とし、観光促進を観点に、地域貢献したい考え。「よりいい酒をなんとか造り、御湖鶴復活という形にしたい」と意気込んだ。
 町内唯一の造り酒屋が復活することについて、青木悟町長は「御湖鶴を引き続きやってくれると聞いてうれしく思っている。起業支援などの補助金制度もあり、そういったところでも支援していければ」と話していた。
(写真は、会見する村田代表取締役=左から2番目=ら)