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遭対協と茅野署が冬山救助訓練

2018年2月26日

遭対協訓練
 諏訪地区山岳遭難防止対策協議会(遭対協)と茅野署は25日、冬山救助訓練を車山高原スキー場で行った。遭対協の救助隊員と茅野署員ら約40人が、遭難者の搬送や救助犬を使った埋没者救助訓練などに取り組んだ。
 同署管内では昨年1年間で、32件の山岳遭難が発生。2002年の開署以来、年間で最多の発生件数となり、42のうち8人が亡くなった。ことしの発生件数は既に6件に達し、全ての遭難に遭対協隊員が出動している。
 車山山頂付近では、岩を支点にロープを延ばした降下・引き上げ訓練を行った。隊員たちは「ゆっくり緩め」「どんどん緩め」などと声を掛け合い、安全を確かめながらロープの扱い方などを練習した。
 高橋政男隊長は「八ケ岳は近くで入りやすい山だが、二次遭難に気を付け、安全に早く遭難者を救助していきたい」と気持ちを引き締めた。
 今回の訓練では、昨年8月に市と協定を結んだソニーの新しい無線通信技術「LPWA」の実証実験が行われた。消費電力が少なく、100キロ以上の遠距離でも通信できるという技術で、隊員らが携帯する約40個の送信機から、市役所と北八ケ岳ロープウエーの受信機に緯度と経度、高度、気温といった情報を送った。
 インターネットを介して、パソコンやスマートフォンにリアルタイムで情報を表示。立ち会ったソニーセミコンダクタソリューションズの西山葵嘉さんは「いろいろな可能性がある。冬山で実際の救助訓練に使い、貴重なフィールドワークになった」と感想。同社の小林誠司さんは「将来的に、遭難防止のために登山者に携帯してもらえるような使える装置にしていきたい」と話した。
(写真は、岩場での引き上げ訓練を行う遭対協の隊員ら)