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高島藩の正月料理再現 江戸末期の暮らし知る

2018年1月14日

正月料理

 諏訪2の「すわまちくらぶ」で12日夜、高島藩の家老が食べていた正月料理を、再現して味わうイベントがあった。家老千野家が書いたとみられる日記を基に、三が日の祝い膳を忠実に再現した。20人余りが江戸時代末期の正月料理を楽しみながら、当時の習慣や暮らしぶりを学んだ。
 イベントは、地域の歴史や文化などを学ぶ「諏訪塾(同実行委員会主催)」の28回目として企画。日記は、1865(元治2)年の元日から同年12月31日までの出来事が克明に記され、このほど土蔵から見つかった。厚さは約7㌢で、手長神社の宮坂清宮司が解読した。
 料理は、すわまちくらぶのスタッフで元学芸員の河原喜重子さんが、宮坂宮司の解読を参考に再現。JR上諏訪駅近くの飲食店「いずみ屋」を営む宮坂友子さんの協力も受け、末広大根が入った雑煮や、イカの胴体にげそを詰めて煮た「巻きするめ」など、元旦から3日夜までの4食分の祝い膳を現代によみがえらせた。
 4食全てにイワシやイカが使われていることについて河原さんは「コイやエビなど、当時も諏訪湖で取れた食材を一切使わず、海の幸にこだわっている。普段は食べられない物を、晴れの日のごちそうとしていたのでは」と推察。その後、再現した献立を盛った弁当を囲み、幕末の正月に思いをはせた。
 日記にはこのほか、正月以降の四季折々の年中行事の様子も記されていて、宮坂宮司は「幕末の家老の衣食住や日常生活を知る上で、非常に良い資料」とする。同日記を題材にしたイベントはシリーズ化し、幕末の諏訪地域の暮らしをひもといていく。(写真は、再現された幕末の正月料理を見る参加者たち)