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「世の中」は三分五厘 諏訪大社下社春宮で筒粥神事

2021年1月16日

筒粥神事210115
 諏訪大社の筒粥(つつがゆ)神事が、14日夜から15日朝にかけて下社春宮で執り行われ、ことしの農作物の豊凶と世相を占った。「世の中」は五分満点で「三分五厘」。4年連続で同じだったが、大社では「昨年よりは(粥の入りが)良かった」とし、状況の好転に期待が持てる神託となった。
 「諏訪の七不思議」の一つに数えられる伝統の特殊神事。43種の農作物名と「世の中」を記したヨシの茎計44本を束ねた「御束」を、白米と小豆、水が入った釜で一晩中炊き上げ、茎の中に入った粥の量などで農作物の出来と世相を占う。
 14日夜、北島和孝宮司ら神職が広さ1坪(約3・3平方㍍)ほどの筒粥殿に入り、木の棒を両手でもむ「切り火」で火を起こして釜を掛け、時折かき混ぜながら大祓詞(おおはらいし)を繰り返し唱えた。氷点下4度の冷え込みとなった15日早朝、町内大総代らが参列して神事を行い、神職が拝殿でヨシの茎を一本ずつ割り、粥の状態を見て、農作物の作況と世相の神託を発表した。
 農作物は「上」が18(昨年16)、「中」が19(同21)、「下」が6(同6)で、上が増え中が減った。「上の上」はリンゴ、ナシ、早生(わせ)稲の3品目で、昨年と同じ。ことしも「下の下」はなかった。
 原弘昌権宮司は「(粥の入り方に)ばらつきがあった。世の中は三分五厘で昨年と同じになったが、筒の中の状態は昨年より良かった。新型コロナウイルスの感染が広がっているが、一年間気を付けて良い年に好転していただければありがたい」とそれぞれの節度ある行動で、平穏な年になることを願っていた。
(写真は、筒粥殿で大祓詞を唱えながら釜を囲む神職)