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平安時代の技法再現 〜聖光寺で截金(きりかね)仏画展〜

2020年8月1日

聖光寺截金展200730
 茅野市北山、蓼科山聖光寺境内の奉納殿で截金(きりかね)仏画展が開かれている。平安時代の仏画に用いられたという技法を再現し、丹念に描いた労作14点を展示。鑑賞する人たちは興味津々だ。
 作者は、蓼科の別荘に16年ほど前から夏場に訪れている小川徳男さん(79)=愛知県犬山市=。トヨタ自動車のエンジニアを経て関連会社社長、会長などを務め70歳で退職して以降、制作に取り組んでいるという。
 截金(切金)は金箔(きんぱく)、銀箔などを直線や曲線、三角や四角などに細かく切り、絵画や仏像などに、にかわで貼って文様を施す技法。器用さ、根気、忍耐、冷静さが必要とされる。小川さんは切るのに竹の刃を使う。
 展示会は4年目。同寺創建50周年を記念した新作の極楽絵、浄土曼荼羅(まんだら)図のほか、過去に出展した阿弥陀三尊図(泉渋院へ奉納)、虚空蔵菩図、阿弥陀衆聖来迎図、不動明王、孔雀(くじゃく)明王、地蔵菩薩、源氏絵シリーズ(5点)などを並べた。
 このうち浄土曼荼羅図は縦3メートル、横2メートルの大作。日本三大曼荼羅絵を見学するなどして入念に構想を練り、1年がかりで制作した。風雅な天女や和楽器の演奏風景、人物は古典的な容姿のほかに、現代風の顔立ちを織り交ぜるなど、描写には個人的な思いも盛り込みながら、極楽を文字通り楽しく表現した。
 小川さんは「みんなが等しく安全、安心で楽しくなるよう願いを込めた。完成してほっとしている」と話し、喜びはひとしお。同寺の松久保秀胤住職は「集中力と追悼の心を持ち合わせていないと、これだけの作品はできない」と絶賛していた。
 6日(木)まで。開場は午前?時~午後5時。入場無料。問い合わせは同寺(電67・2397)へ。
(写真は、新作「浄土曼荼羅(まんだら)図」の説明をする作者の小川徳男さんと松久保秀胤住職)