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今につながる創意工夫 「ものづくりのDNA」で縄文シンポ

2019年9月29日

HP190928縄文シンポジウム
 岡谷を含む八ケ岳北麓一帯が「星降る中部高地の縄文世界」として日本遺産に認定されたことを受け、岡谷市教育委員会は認定1周年記念事業として28日、「岡谷 縄文シンポジウム」をテクノプラザおかやで開いた。「『ものづくりのDNA』を語る」をテーマに基調講演とパネル討議を通して、縄文時代から今につながる「創意工夫」の精神などについて考えた。
 基調講演では、早稲田大学文学部の高橋龍三郎教授が「石器石材採掘坑の出現に関する比較と民族誌」と題して、日本の黒曜石採掘坑やエジプトやイギリスの旧石器時代の石材採掘坑などについて紹介。パプアニューギニアでの黒曜石の採取と交易についても研究成果を紹介した。
 パネル討議は元県考古学会長の会田進さんを進行役に、高橋教授、高林千幸岡谷蚕糸博物館長、元岡谷市経済部長で中小企業診断士の鮎沢茂登さん、長和町黒曜石体験ミュージアム学芸員の大竹幸恵さんがパネリストとして参加、「ものづくりのDNA」をキーワードに意見交換した。
 大竹さんは、縄文時代の黒曜石採掘地で採掘の様子を伝える道具が初めて発見された長和町の星糞(ほしくそ)峠黒曜石原産地遺跡の調査について紹介し、「土砂崩落を防ぐ木柵など3500年前の創意工夫の跡に驚いた」などと強調。高林館長は黒曜石の石器から続く岡谷のものづくりについて「あるものに付加価値を付ける創意工夫の精神がある」と持論を述べていた。高橋教授はパネル討議のまとめとして、「創意工夫を生かすためにはリーダーが必要で、岡谷にはその基盤がある」と話していた。
(写真は、縄文時代から現代へと続くものづくりの精神について考えたパネル討議)