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景観損ね危険霧ケ峰の廃屋解体費にふるさと納税のGCF活用 来月8日から市が400万円募る

2019年1月25日

0124廃屋解体にGCF
 諏訪市は、霧ケ峰高原にある廃屋「旧信濃山荘」の解体費に、ふるさと納税制度の一つ「ガバメント・クラウドファンディング(GCF)」を活用する。目標寄付額は解体総額の約1割に当たる400万円で、2月8日(金)から5月31日(金)までの113日間寄付を募る。
旧信濃山荘は、地上2階、地下1階建てで、延べ床面積は約1160平方㍍。土地は市有地で、99年に土地の明け渡し合意書を相手方と取り交わしたが、2007年に清算人が死去。所有者不在の廃屋として長年放置され、観光地の景観への影響や倒壊の危険性が問題視されてきた。
 市では、公費による除却に慎重な姿勢をとってきたが、霧ケ峰の魅力向上に向けた特例として解体を決定。昨年12月の補正予算に解体工事費4050万円を盛り、新年度早期の着工に向けて準備を進めている。
 GCFは、自治体の課題解決に向けた事業などに共感した人から、寄付を集める仕組み。市では、17年9月にラッピングバス「かりんちゃんバスすわひめ号」の製作に向けて初めて活用し、今回で2例目となる。
 寄付は、期間を第1期(2月8日〜3月31日)と第2期(4月1日〜5月31日)に分け、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」で呼び掛ける。目標額に達しなくても事業を実施する「オール・イン方式」を採用し、集まった寄付は解体費のほか、のり面の保護や緑化などに充てる方針だ。
 返礼品は今後詰めるが、霧ケ峰スキー場リフトや市営キャンプ場の利用券、同高原の伏流水で造った地酒などを想定。総務省の通達にのっとり、返礼品を受けられるのは市外在住の個人か、市内外の法人で、諏訪市民が寄付した場合は返礼品を受け取れない。
 GCFの活用について、金子ゆかり市長は24日の定例記者会見で「解体費は全額予算計上したが、放置すれば行政が片付けてくれるという前例になってほしくはない。(GCFを通じて)市民らと課題を共有し、こうした事が波及しないようにしたい」と述べた。
 寄付はGCFのほか、ふるさと納税などでも受け付けている。
 
(写真はふるさと納税制度の一つGCFを活用して解体する旧信濃山荘)