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ヒツジグサ節目の年に関心 「琵琶湖周航の歌」原曲名の花

2017年9月14日

HP関心高まるヒツジグサ
 上の原小学校の校庭から校舎へ上がる階段の一角、白いヒツジグサの花が陽光を浴びて輝く。ことしは諏訪郡湊村(現岡谷市湊)出身の小口太郎(1897〜1924年)が作詞した国民的な愛唱歌「琵琶湖周航の歌」の誕生から100年。原曲の曲名に用いられるなど、岡谷とゆかりのあるこの奥ゆかしい花が節目の年に再び、関心を集めている。 
  太郎の出生地、湊地区では湊支所の駐車場敷地内で花が咲く。同館の「いちい学級」で2013年度、初回講座で琵琶湖周航の歌を取り上げたことを切っ掛けに育て始めた。職員は「小口太郎が生まれた地に、こうして今も縁のある花が咲くのはすてきですね」とほほ笑む。
 ヒツジグサはスイレンの仲間で、日本の在来種。新潟県出身の青年、吉田千秋(1895〜1919年)が作った同名の曲に1917年6月、旧制第三高校(現京都大学)に在学していた太郎が、琵琶湖の周航2日目の今津の宿で歌詞を付けて披露したのが始まりといわれる。
 「岡谷にとって大切なこの花を、絶やしてはいけない」。長地出早の男性(78)は20年ほど前、親交のあった人からこう言われて種を預けられ、以来、熱心に世話を続ける。上の原小学校や湊支所の花はいずれも、山田さんが育てた株を縁あって持ち込んだものだ。
 岡谷との縁を知る人が少なくなる中、ことしは山田さんが所属する横川区の住民グループ「横川里山の会」の20周年と、琵琶湖周航の歌の100周年に合わせて出早公園内の池に仲間と一緒に10株を植えた。「小さなことかもしれないが、認識する人が増えてこの株の子や孫が出てきてくれたら」と願う。
 8月下旬の同公園。この日は園の植物を愛好する人でつくる「花人(はなびと)の会」主催の観察会があり、ヒツジグサの観賞も組み込まれた。差し掛かった一行は、いわれを学ぶとオカリナの音色に合わせて琵琶湖周航の歌を斉唱。太郎の偉功をしのび、大空に歌声を響かせた。
(写真は、上の原小学校で咲くヒツジグサ。学校の創立40周年記念に、横川里山の会の協力で植えられた)