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「介助ボランティアになって」進学希望の養護学校生徒が募集

2017年9月9日

田中洵さん
 下諏訪町東山田にある県花田養護学校高等部生徒が、「障害のある人や高齢者が、地域で不自由なく暮らせるような、便利な福祉機器を開発したい」と諏訪東京理科大学(茅野市豊平)進学を目指している。生徒には筋疾患による障害があり、大学に通学するためには複数の介助が必要になる。夢をかなえるために、自らボランティアの募集を始めた。
 進学を目指しているのは、高等部3年生の田中洵さん(17)=塩尻市出身=。筋力が低下する病気を持つ田中さんは、電動車椅子で生活しており、中学2年生の時に花田養護学校へ転校してきた。福祉機器を扱う人に紹介されたという電動車椅子サッカーが好きで、週末に同校や下諏訪体育館で楽しんでいる。
 田中さんには二つの夢がある。障害のある人が必要な介助を求めながら、地域で主体的に暮らしていくための福祉機器を作ることと、障害のあるなしにかかわらず、働ける場を創出すること。自分が思った時に思ったように行動できる。介助を受ける人に笑顔が生まれ、介助者の身体的負担を軽減できるような、自立した生活を支援するための福祉機器を開発し、雇用を生み出したいと願っている。夢を実現するために、来年4月に公立化される諏訪東京理科大工学部情報応用工学科で、IoTやセンシングの技術を学びたい考えだ。
 中学部3年の時に大学進学を決意し、高等部1年から準備を始めたという田中さん。経営マネジメントのカリキュラムがあることや、諏訪地域の企業と連携した取り組みを実践している同大学を選んだ。11月の推薦入試に挑み、合格すれば4月から茅野市内に居を構えて通学するつもりだ。
 募集しているのは、主に大学構内で田中さんを介助するボランティア。トイレ介助、食事台や補助具の取り付け、教科書などの準備、同構内に3カ所ある昇降機の操作など。講義が10時間あるとして、1人2時間交代で1日5人、1週間に25人の介助が必要になる。ボランティアのシフト管理を一緒に行う人も募集。性別は問わず、事前にオリエンテーションを行うため「介助の未経験者でも心配ない。大学に通学するためには、どうしても皆さんの力が必要になる。ご協力をお願いします」と田中さんは話している。
 花田養護の五味浩一校長は「自分の夢を実現するために、必要なことを自ら発信しようとしている姿。前向きだが、しかし謙虚に自分の障害と向き合っている姿は、一人の個人として好感が持てる。夢を一緒に実現しようという人が、集まってくれればうれしい」とエールを送った。
 問い合わせは電子メールlets.go.suwarika@gmail.comへ。
(写真は、チラシを手にボランティアを募集する田中さん)