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下諏訪で地酒「御湖鶴」が復活

2018年12月1日

御湖鶴
 酒造会社の経営破綻で途絶えていた下諏訪町を代表する日本酒ブランド「御湖鶴(みこつる)」の新酒が出来上がり、11月30日、諏訪市の諏訪湖ホテルで上槽発表会があった。酒造事業を引き継いだ醸造元、磐栄運送の村田裕之代表取締役(58)は「これまでを超えた新生御湖鶴。地元に愛され、誇れる酒にしていく」と述べた。新酒は10日(月)から蔵出しされ、諏訪地域の酒販店を中心に発売される予定。
 同社は、御湖鶴の再生を目指し同町御田町にある旧来の酒造場を改修し最新設備も導入。本年度は諏訪市や同社の地元福島県などの酒米を使い、一升瓶(1・8㍑)換算で1万本の生産目標を掲げて10月に醸造を始めた。
 新酒は、搾ったままを瓶詰めした「純米無濾(ろ)過生原酒」。ラベルは旧来を参考に、再度デザインした。一升瓶は2400円、720㍉㍑の4号瓶は1200円(ともに税別)で販売する。 
 酒造部長で杜氏(とうじ)を務める竹内重彦さん(46)は「程良い酸味で味わいがあり、日常の食事に合う」とし食中酒に薦め、従来より高品質になったことを強調した。
 本年度は同生原酒に加えて、原料米の異なる11種を醸造し販売する計画でいる。村田代表取締役は運送業の特徴を生かし流通させていく方針にも触れ、「御湖鶴を日本一、世界一にしていく」と話した。発表会に続いて同所で祝賀会が開かれ、町や下諏訪商工会議所、地域住民ら約130人が出席し、新酒を楽しんだ。
 同社は、発表会で来年度に向けた方針も説明。生産量を増やすために本年度分の醸造終了後に酒造場を解体し、観光もできるような酒造場へ改築する計画を示した。
 当初の生産目標は、一升瓶で年間3万本だった。これに対し、竹内さんは「本年度の醸造は初年度ということもあって、試験的な性質がある」とし、来年度から本格的に取り掛かることに触れた。
 新酒造場には、見学や飲食できるような場所も設置する。御田町商店街へ観光客を呼び込んで地域の活性化に取り組みたい考えだ。
(写真は、御湖鶴のラベル瓶を持つ村田代表取締役=左=と杜氏の竹内さん)