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皇后さまお手製蚕具など一堂に

2018年9月7日

HP皇室のご養蚕展② のコピー
皇后さまお手製蚕具など一堂に
 平成区切り皇室に迫る
     岡谷蚕糸博物館企画展

 岡谷蚕糸博物館で6日、皇室に受け継がれる養蚕をテーマにした企画展が始まった。天皇陛下が来年4月末で退位され、皇后・美智子さまが担われてきた作業も区切りとなる中、この転換期を蚕糸の盛り上げにつなげたい—との思いで計画。美智子さまが毎年の作業で編む「わら蔟(まぶし)」など貴重な品を並べる。同館では「平成が終わりを迎えるこの機会に皇室を身近に感じ、日本の近代化を支えたシルク産業についていま一度、考える切っ掛けになれば」としている。
 同館によると、皇室と養蚕の関わりは古く、日本書紀にも関係する記述が見られるという。長く途絶えた時代を経て、明治天皇の皇后(昭憲皇太后)が復興。近代皇室の養蚕の礎を築き、以来、作業は時の皇后に受け継がれてきた。
 今展では宮内庁から、蚕具16点と養蚕の様子を収めた写真8点を借りた。皇居内の紅葉山御養蚕所で行われる「御養蚕始の儀」から「御養蚕納の儀」まで、養蚕の一連を美智子さまが使う蚕具の実物と写真を時系列で並べる。
 皇室では白繭、黄繭、天蚕のほか、日本の純粋種「小石丸」を育てる。美智子さまが特に気に掛けているという小石丸は小振りのため、回転蔟などよりも引っ掛かりの多い昔ながらのわら蔟をその都度、手作りしているという。
 ほかに蚕の飼育や病気を研究し、かつては皇室の繭を繰糸するなど縁が深い東京農工大学が収蔵する皇室から贈られた紅葉山御養蚕所の額、蚕糸博物館が収蔵する錦絵、正倉院をはじめ文化財の復元を支える小石丸の紹介パネル、市民にも協力してもらった皇族とシルク岡谷の関連を特集したスペースなどもある。
 水曜休館。開館時間は午前9時〜午後5時。問い合わせは同館(電23・3489)へ。
 
  写真=美智子さまが毎年、編まれている「わら蔟」(写真手前)など貴重な品や写真が並ぶ