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ドローンで水鳥追い払い 県が諏訪湖で初の実証試験

2018年8月29日

水鳥追い払い

 県は28日、諏訪湖で魚を補食する水鳥を追い払おうと、小型無人機(ドローン)とスピーカーを使った初の実証試験を下諏訪町赤砂防波堤沖と砥川河口で行った。今回はカワウを対象に実施。ドローンが近づくと一斉に飛び立ったことから、県地域振興局農政課は「想像以上に効果はあったと認識する」とし、試験結果をまとめ、冬場のカワアイサ対策にも生かしたい—とした。
 諏訪湖創生ビジョンの一環で漁業被害防止のため、中央水産研究所内水面研究センターの提案を受けて計画。諏訪湖漁業協同組合、日本野鳥の会諏訪支部、NPO法人諏訪広域ドローン協力会などが協力した。
 諏訪湖漁協によると、諏訪湖上では銃猟ができないことから、近年ほかの地域から追われて逃げて来たカワウが定着。ニゴイ、フナ、ワカサギなどを捕食し、被害が拡大しているという。
 県によると、1月の水鳥個体数調査で、カワウは前年より「微増傾向」(日本野鳥の会諏訪支部)の99羽を確認。一年を通して諏訪湖にいる水鳥で、1日の補食量は500㌘程度になるという。例年冬場に船を出して追い払いをしているが、慣れによる効果の低下と労力負担が大きいことから、新たな方法を確立しようと計画した。
 ▽銃声音の有無▽接近方法などを検証。砥川河口では、羽を休めていたカワウ27羽に銃声を響かせながらドローン1台を上空から近づかせたところ、一斉に飛び立って散り散りになった。
 武居薫組合長(67)は「効果はあったが、ドローンの飛行時間の短さが課題。忌避するだけのインパクトが与えられるか、冬の寒い時期にも使えるかがポイント」と話した。地域振興局の飯森恵美子農政課長は「近づけたときの反応を見ることができた。種類やどのくらい高く飛ばすかなど、今後検討したい」と話していた。(写真は、ドローン(左上)が近づき一斉に飛び立つカワウ)