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図録「クロニクル」発刊

2018年6月20日

HPイルフ童画館20周年図録
図録「クロニクル」発刊
 武井武雄の研究を集大成

 イルフ童画館は開館20周年の一環で、図録「武井武雄クロニクル」(変形B5判、全160ページ)を発刊した。11日まで同館で開催した同名の記念展と連動させ、制作年代順に武井作品201点を収録。同館では「歴代の研究の集大成」と位置付け、学芸員が「武井は調べれば調べるほどに謎が深まる」とするなど、いまだ底知れぬ地元作家の偉業を一冊にまとめた。
 同館によると、2014年に武井の生誕120年で行った全国巡回展の際に図録の監修はしたものの、館として製作するのは初。周年記念のほか、「研究成果を次代へ形にして残していくことが大切」として山岸吉郎館長と学芸員2人が作品を洗い直した。
 幼少期、東京美術学校(現東京芸術大学)へ入学した青年期、1926年に「ラムラム王」を刊行してフランス語表記の頭文字を取った「RRR」をサインにしていた時代など4章立て。83年に88歳で生涯を閉じるまで創作に向かい続けた姿が見て取れる。
 童画家というイメージが強い武井だが、実際には版画、刊本、玩具の制作など多才な顔を持つ。学芸員は「改めて調べると多才なまれに見る作家だったことが分かる」とする。武井の制作ノートを見返すことで、収蔵していたがナンバーが不明だった「鳥の連作」の番号が判明するなどの成果もあったという。
 2千部作り、4月にあった20周年式典の出席者に配布したほか、関係のある美術館などへ寄贈。ミュージアムショップで、税込み2千円で一般向けにも販売している。同館では「こんなにおもしろい作家はいない。地元の皆さんにも手に取って、武井の多彩な面を感じてもらえたら」とPRする。
 ショップのみの入場は無料。水曜日休館。問い合わせは同館(電24・3319)へ。
 
写真=完成した図録「武井武雄クロニクル」