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湖東新井区伝統の「悪魔払い」

2018年2月12日

湖東新井
 茅野市湖東新井区内で11日、新井獅子舞保存会による「悪魔払い」が行われた。区内75軒近くを1軒ずつ訪れ、家内安全、五穀豊穣を祈願する伝統行事。江戸時代から受け継がれている、笛と太鼓の音色に合わせた獅子舞を披露した。
 保存会によると、新井の獅子舞は狂言や道化、芝居などを集めた「太神楽」(だいかぐら)の一部で、古文書には1860(安政7)年3月に始まったと記されているそうだ。かつては元服を迎えた15歳から35歳までの若者により結社(青年会)を組織し行っていた。一時後継者不足などで途絶えていたが、1967年に保存会が発足、復活させ続いている。
 前夜から降った雪もやみ、一時は青空が広がったこの日、会員たちは胡桃沢神社に獅子舞を奉納した後、足元の悪い中、1軒ずつ訪問。家人が出迎えた玄関先で「三尺の幣(ぬさ)を持って悪魔を払いたもう」と唱え、会員1人が獅子頭を操り御幣と鈴を持って舞を演じた。
 悪魔払いは毎年「建国記念の日」の2月11日に行っており、会員は現在40〜80歳代の14人、笛と太鼓、舞を披露する悪魔払いが残るのは市内で同区のみという。伊藤世紀会長(75)は「メンバーも年を重ね、後継者育成が課題。興味を示す若者にどんどん関わってもらえれば」と話していた。(写真は各家庭の玄関先で獅子舞を披露する保存会)