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御神渡り5季ぶり認定 八剱神社が諏訪湖上で拝観式

2018年2月6日

御神渡り拝観式

 2013年の冬以来5季ぶりに出現した諏訪湖の御神渡(おみわた)りの拝観式が5日朝、神事をつかさどる諏訪市小和田の八剱神社により執り行われた。1日に確認された筋を正式に御神渡りとして認定。過去の記録と照らし合わせてことしを占った結果、「作柄はやや良。経済には明るい兆しあり」とのご託宣だった。
 冬晴れの下、宮坂清宮司(67)をはじめ宮坂英木大総代(73)や総代、古役、地区役員、招待者ら約60人が紋付きはかま姿などで参列。筋の起点となる下座(くだりまし)、終点となる上座(あがりまし)をそれぞれ確認・認定し、宮坂宮司がおはらいをした。
 諏訪市渋崎の旧六斗川河口付近(下座)から岡谷市湊を経由して下諏訪町高木(上座)に向かう筋を「一の御神渡り」に、諏訪市の上川河口(下座)から北に伸びる筋を「二の御神渡り」に、諏訪市大和の千本木川付近(下座)から西へ向かう筋を「佐久の御神渡り」に、それぞれ認定。二の御神渡りと佐久の御神渡りの上座は不明とした。
 雪や気温の上昇で先週末は不安定だった氷も、この日の氷点下9・5度(長野地方気象台)の冷え込みで締まり、神事は予定通り氷上で執り行った。
 宮坂宮司は「神渡りができ、無事に拝観式を納めることができ、ほっとしている。湖上で拝観式ができて感無量」と、自身11回目の拝観式を終えて安堵(あんど)の表情。宮坂大総代も「伝統と歴史の重みを感じ、充実した気持ち」と感激していた。
 拝観式後には八剱神社で拝観奉告の神事を行い、1873(明治6)年以降の記録を記した「湖上御渡注進録」と、ことしの状況を照合する年占い(占定)をした。その結果、1938(昭和13)年、45(同20年)年の状況に似ていると判断。ことしを「天候は前半不安定なれど、後半は順調。作柄はやや良。経済には明るい兆しあり」と占った。
 宮坂宮司は「寒の入りの1月5日からの監視で、結氷、大雨、解氷、再結氷など、自然の計り知れない変化に直面し、自然の畏れ、神威を感じた」とこの冬を振り返り、「過去の記録には厳しいことも書かれているが、神渡りができたことが何より明るい兆し」と語り、平穏な一年になることを期待した。
 この冬の諏訪湖は、1月15日に全面結氷したが、その後の大雨と寒の緩み、強風で一度解けたが、氷点下11・4度まで冷え込んだ27日朝、再び全面結氷。28日も最低気温が氷点下10度を下回り、安定した氷になった。
 冷え込みは29日からやや緩み、寒暖差で下諏訪町の赤砂崎沖や高木沖、岡谷市の湊沖などに氷のせり上がりが複数出現した。しかし、いずれも諏訪湖の東西に伸びる筋で、上社がある諏訪市側から下社のある下諏訪町側へ伸びる南北の筋が確認されたのは、31日朝。2月に入ってからの御神渡り出現となった。
 御神渡りの認定は、平成に入ってからは9回目。御神渡りを諏訪大社上社に奉告する注進奉告式は17日(土)に行い、結果は宮内庁や気象庁にも報告する。(写真は、男神が降り立ったとされる「一の御神渡り」下座(くだりまし)で行われた拝観式=5日午前8時ごろ、諏訪市渋崎の旧六斗川河口で)