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おやこはくちょう丸引退 26年間の運航11月末で幕

2017年10月31日

おやこはくちょう丸引退

 26年にわたって市民や観光客を楽しませてきた諏訪湖の遊覧船「おやこはくちょう丸」が11月末で引退することが30日、分かった。同船を運航する「ぬのはん」の加藤明博社長によると、乗客数の減少と赤字が理由。今後は事業を縮小し、遊覧船いるか号と足こぎボートのみを運営する。

 おやこはくちょう丸は、1991年6月に就航。全長22メートル、幅5.6メートル、排水量82トン、178人乗りの大型遊覧船で、石彫公園西側の乗り場から1時間に1便、30分間の湖上遊覧を行っている。客室は1、2階で、屋上のデッキに足こぎボートサイズの「子白鳥」が乗っているのが特徴。7年ほど前に、ぬのはんのグループ会社が市内の民間会社から買い取り、昨年5月からは、ぬのはん船舶事業部が運航している。
 加藤社長によると、就航当時は1年間で約7万人が乗船。観光客のほか、海の日に合わせた無料乗船会や元日の初日の出号の運航などを通じ、多くの市民に親しまれてきた。だが、団体客の減少に比例して乗客数も年々減少。2016年2月から17年3月までの乗客数は、ピーク時のほぼ6分の1の1万2千人にまで落ち込んだ。
 5月の大型連休と夏の観光シーズン以外の集客が思うように伸びず、乗船をセットにした宿泊プランを設けるなどしたものの、食いつきは悪かったという。運航には人件費のほか、年1回の船舶検査が法律で義務付けられていて、費用は約170万円。花火大会の桟橋の売上などで赤字を補てんする状況が続いていたことから、幕引きを決めた。
 運航は11月30日(木)までで、船体は12月中に解体する方針。加藤社長は「白鳥の遊覧船が湖上を泳ぐ姿は、諏訪湖観光のシンボルの一つだった。廃船にするのは、携わってくれた乗務員、観光関係者に申し訳ない」と述べた。その上で、「地元に世話になり、かわいがってもらった」と感謝し、通常料金の半額(大人450円、4〜12歳200円)で乗船できる市民対象のサービスデーを、24日(金)から始める意向を示した。
 湖上遊覧を引き継ぐいるか号は、来年5月の大型連休に向け、内外装をリニューアルして運航する。

(写真は、11月いっぱいで引退する「おやこはくちょう丸」)