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市川笑野さん歌舞伎の世界解説

2017年7月31日

HP笑野さん
 岡谷蚕糸博物館の移転リニューアル3周年記念企画「歌舞伎衣裳(いしょう)展」に協力・監修した、市出身の歌舞伎俳優市川笑野さんのトークイベントが30日、同館であった。歌舞伎の歴史や舞台裏、展示物の説明を来館者らは興味深く聞いた。
 歌舞伎衣裳のほとんどは絹製で、シルクと歌舞伎の切っても切れないつながりにスポットを当て、笑野さんが実際に舞台でまとった衣裳や小物の数々を展示し、鏡台を置いた楽屋も再現してある。
 前半のトークで笑野さんはまず、1603(慶長8)年に始まったとされる歌舞伎の成り立ちから説明。女形の極意について「少し肩を落として小首をかしげる。私は身長173センチなので、膝を落として体を斜めに傾け、小さく見えるようにしている」とポーズを取った。せりふは独特の抑揚を付け、芝居自体もオーバーに演じて何を表現しているか分かりやすく見せ、真っ白なおしろいは役者を引き立たせるためだという。
 蚕糸博物館併設の宮坂製糸所の生糸を岡谷絹工房が織り、それを仕立てた「長絹」を身に着けて9月にふるさとで舞踊会を行えることに感謝しながら、「岡谷のシルクも歌舞伎も、未来に引き継いでいく大切な財産」とまとめた。
 展示会場に移動し、衣裳やのれん、舞台後に顔の隈(くま)取りを写し取った押隈など、一点ずつ解説して歌舞伎の世界を分かりやすく話した。
 地元ファンら50人近くが来場し、笑野さんに質問しながら会話を弾ませた。来場した市内の女性は「役者さん本人から聞けて、歌舞伎のことが腑(ふ)に落ちるように分かった」と話していた。
(写真は、展示された歌舞伎衣裳を説明する笑野さん=左)